日本の水道料金の安さは世界3位!世界の水道料金ランキングをまとめてみた

世界の水道料金は国や地域によって大きな差があります。日本では当たり前のように水を使えるので、料金について意識することはほとんどないかもしれません。

今回の記事では、世界の水道料金ランキングや、高額である国・地域の紹介、そして水道料金が高額になる理由などについて解説します。その上で日本がどのような位置にいるかを改めてチェックし、今後料金が変動する可能性があるかについても検証していきます。

記事の監修者
公益財団法人 水道技術研究センター
水道事業の抱える諸課題の解決に向けて、水道事業体、大学・研究機関、民間企業等との連携のもと、様々な調査研究、技術支援、成果普及活動を行っている。

世界の水道料金ランキング(安い順)

まずは世界の水道料金のランキングをチェックしておきましょう。以下の表で、世界の水道料金を「安い順」に記載しています。

※情報引用元:水道技術研究センター「世界の水道料金マップ(2023年)

順位国名
(一部州名)
水道料金
(10㎥/月あたり)
1マイアミ・デイド約580円
2ダラス約1,420円
3日本約1,560円
4オークランド約1,700円
5シンガポール約1,820円
6バンクーバー約2,210円
7オタワ約2,350円
8シドニー約2,670円
9メルボルン約2,790円
10ロンドン約3,380円
11バーミンガム約3,470円
12リバプール・マンチェスター約3,730円
13ニューヨーク約3,890円
13ラスベガス約3,890円
15シアトル約5,190円
16サンディエゴ約6,160円
17サンフランシスコ約6,930円

上記のランキングをチェックすると、上位の一部を除いて「2,000円以上/10㎥」という料金が大多数です。世界と比較すると、日本の水道料金は安価な部類に入ることがわかるでしょう。

最も水道料金が高いサンフランシスコは、日本の約4倍近い料金となっています。

同じように水を使っているのに、なぜ場所によって水道料金が大きく異なるのでしょうか?水道料金の具体的な金額については、「水道料金の決め方」が関係してきます。

水道料金の決め方

水道料金を決める具体的な要素としては、例として以下が挙げられます。

  • 水の総需要量
  • 水源の場所
  • 水道施設の建設・管理・維持費・人件費
  • 水の輸送費(各家庭へ水を配るための水道管の敷設工事費や維持費)
  • 浄水処理に必要な費用(浄水薬品費や浄水施設を動かすための電気料金、水質検査にかかる費用など)

ちなみに日本では一般的に、基本料金と従量料金から水道料金が構成されています。以下は、東京都水道局の例です。

日本の水道料金

・基本料金:水道事業の運営に必要な経費を算出したうえで、使用水量の有無に関わらず、水道メーターの口径に応じた金額を負担する。

・従量料金:使用水量の増減に応じて金額を負担する。
(一般家庭など口径25mm以下の場合は、月5m³までを基本水量として基本料金に含み、従量料金はなし)

参照:東京都水道局

日本は各地域に水道設備が完備されており、蛇口をひねれば安全で美味しい水を利用できます。

しかし、日本のように水道設備が整っている国はごく一部です。世界的には、以下のような国が多数あります。

  • 水質が悪い
  • 水源が不足している
  • 干ばつによる被害が大きい

水質が悪ければ浄水処理に多額の費用がかかるため、水道料金を上げざるを得ません。水源の不足や干ばつによる被害が発生した場合も同様に、水の確保が困難になるため水道料金が上がります。

なぜ、サンフランシスコは水道料金が高いの?

上記で解説したように、地域の気候や水源の不足など、多くの要因によって水道料金は変動します。

とくに、先述の水道料金ランキングで最高額だった「サンフランシスコ」は、2021年に「水不足に伴う緊急事態宣言」を出しており、その影響が2023年に表れたと推測できるでしょう。

サンフランシスコには約80万人が住んでおり、その住民の飲料水としてヘッチヘッチー貯水池が活用されています。

引用元:CNNニュース「米サンフランシスコ市、水不足で緊急事態宣言を発令

しかし、貯水池に水を生み出していたシエラネバダ山脈で、干ばつや記録的な高温が続いたことで雪解け水が残らなくなりました。

シエラネバダ山脈で、干ばつや記録的な高温が続き
雪解け水が残らなくなった。

その結果として、サンフランシスコだけでなく、アラメダ・サンタクララ・サンマテオといった各郡においても深刻な水不足が発生したのです。

水不足の結果、先述の通り2021年に水不足に伴う緊急事態宣言が発令されます。

この発令によって、サンフランシスコが住民に対して「水道の10%使用削減」を要請する事態となりました。具体的には「トイレの漏水修理」「節水型機器の設置」「屋外での散水抑制」など、自発的に対応するよう要請しています。

水不足によって割増料金が課されている

さらにサンフランシスコでは、水不足に対応するため、2022年4月から最大で5%の臨時割増料金が課されるようになりました。

割増料金は平均700円ほどになると言われていましたが、2023年時点で世界で最も水道料金が高い地域になってしまうほど値上げしています。

シエラネバダ山脈の雪解け水は、サンフランシスコだけでなくカリフォルニア州全体に水を供給しているため、想定以上の値上げ幅になってしまったのでしょう。

シエラネバダ山脈の雪解け水は、
想定以上の値上げ幅になってしまった

シエラネバダ州の干ばつは、2015年時点で「過去500年で最低」と言われていたため、2023年になって影響が顕著に表れてきたと言えます。

地球温暖化は現在も世界レベルで問題になっているため、干ばつによる水不足の被害は大きくなるでしょう。今後も値上げする可能性は否定できません。

まとめ

世界を見ると、日本のように安全で美味しい水を安定的に安価で使える国は限られていることがわかるでしょう。大多数の国や地域では、干ばつによる水源不足や水道施設の老朽化などによって水の確保が困難になっており、水道料金も高額になっています。

とはいえ、日本のように水道を安価に使えている国も、今後はどのように変化するかわかりません。とくに地球温暖化は世界レベルで進行しており、今後干ばつによって水不足に陥る国は増加するでしょう。

日本も「急な地形が多く水が海へ流れてしまう」「温暖化によって積雪量が減少する」などの要因によって、将来的に水不足に陥る可能性はゼロではありません。水不足に陥れば、今までのように気軽に水道を使うことは難しくなります。

将来的な水不足を避けるためにも、早い段階で対策を打ち、水を無駄にせず活用する仕組みを整えることが重要です。

この記事の執筆者
内野 マナト

「ユーザーニーズを徹底的に満たせる記事を制作する」がモットーのWebライター。水に関する記事はもちろん、マーケティング・ビジネス・転職・M&A・葬儀・教育等、幅広いジャンルで豊富な執筆経験を持つ。

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