こんにちは。アクアソムリエの鶴田雅人です。
今回は、少し前ですが、上野にある国立科学博物館で開催された和食展(2023年10月28日〜2024年2月25日まで開催)を見てきましたので、その様子をお伝えしていきます。
和食の根幹、といった感じで、和食展に入ってすぐのところにお水のコーナーがありましたので、主にそのお話しをしたいと思います!
和食展とは?
「和食展」とは、正式には、国立科学博物館で開催された、
特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」を指します。長いので、SNSでは和食展と書かれることが多いです。
2023年10月28日〜2024年2月25日まで行われていましたので、訪れた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(※現在は終了しています)
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、2023年で10年が経つそうです。それを記念して、日本の風土に触れつつ、歴史とともに和食を振り返っていく…といった内容でした。
で、来場すると、なんと素晴らしいことに!
お水、のコーナーから始まります。
(すべて、撮影okな部分を撮影しております)
いやー、これだけの日本各地のお水を集めるのは、さぞ大変だったろうと思います。
良いお水ばかりで嬉しくなります。
書かれているコメントや注釈も、素晴らしく的を射ており、さすが科博!という感じです。
天然水と深く関わる地質や岩の展示も見どころだった
個人的に、いちばん勉強になったというか感銘を受けたのが、地質のところ。
実際の岩(!)の標本を持って来て、「この層を水が通ると…」という話をしてくれています。
私もこのアクアソムリエという職業柄、
「天然水は地下から生まれる。地中の、どのような地層を通ってきたかによって、お水に含まれるミネラルが決まる。そのミネラル量によって軟水にも硬水にもなる」
みたいな話を何度もさせていただいていて。
ただ、実際の花崗岩ですとか、石灰岩ですとか、そうしたものが一堂に会して!
しかも名水をテーマにして、というのは、大変貴重な機会だなと思いました。
ものすごくざっくり説明しますと…。
地質には、いろんな種類の岩石があるのですが、
日本で代表的なものの一つが花崗岩です。
ツルツルした形状ですね。
高級感があり、床材やお墓としての石材などに使われます。
花崗岩の層は日本全国にけっこうあり、
湧水や、ミネラルウォーターの文脈でよく出て来ます。
一般的には、花崗岩の層を通過する際には、あまりミネラル成分はお水に溶けない…とされており、
花崗岩が多い場所では、軟水になることが多いです。
もう一つ代表的なものが、石灰岩です。
貝殻や海洋生物の骨などが堆積したもので、カルシウムを多く含む岩石です。
また、花崗岩と比べミネラル成分がお水に溶けやすいとされているので、
石灰岩が多い地層では、お水のカルシウム含有量が多い=硬水寄りになる傾向があります。
いや、ほんとに、お水と岩石を対照して見られるのは、素晴らしい機会でした!
ちなみに、この後は…、お野菜やお寿司、
歴史に沿ってのメニュー紹介など、
素敵な展示でした!
【まとめ】和食と天然水の深いかかわり
いかがでしたでしょうか。
今回、嬉しかったのは、「和食」という切り口で見ても、お水というのはやはり大切なんだな…、そう考えられているんだな、というのが、日本最高レベルの展示会において確認できたことです。
地学に縁がない限り、なかなか実際の地層や岩石を見る機会というのもないので、理解が深まったように思いますし、そうしたところにアンテナを伸ばしていかないといけないな…と再確認した次第です。
もうひとつ、これも鉄板ネタで、
(諸説あるのですが)日本の東西でお水の硬度が違い、東の方が硬度が高く、西はより軟水…という話があります。
そのお水の違いが、食文化やうどんのだしの違いなどに繋がったとも。
(軟水の方がより出汁がでますので、関西は出汁の味を生かした薄味のツユ。関東は少し硬度が高いので、濃口醤油が入った、など)
もちろん一括りにはできず、同じ地域でも微妙な地質の違いにより差は出るのですが、概ねこの傾向は正しいように思います。
先ほどの花崗岩・石灰岩の違いもそうですが、関東には関東ローム層があるので、これもお水に溶けやすい・硬度を上げる地質の一つです。
お水を語るときには、「山や森」は欠かせないテーマなのですが、同じくらい「地質」というテーマも大切ですので、今後も掘り下げていかねばと、とても勉強になりました。