【和商市場】老若男女に愛される、北海道の三大市場。69年の歴史に根付く「和して商う」精神とは

北海道の三大市場の一つと言われる、釧路和商市場(以下、和商市場)。釧路の味覚を堪能できる「釧路の台所」とも呼ばれています。

今回は、釧路和商協同組合 事務局長の駒谷純恵(こまやすみえ)さんにインタビュー。市場の歴史やおすすめの商品、大切にしていることについてお話をうかがいました。

釧路和商市場協同組合

駒谷 純恵さん

事務局長

和商市場の歴史は、一台のリヤカーから始まった

和商市場の原点は「和して商う」精神から始まった露天商。雨風などの天候や政府からの制約を受けながらも、新鮮な食材を届けてきた。

──最初に、和商市場の特徴や魅力を教えてください。

駒谷 純恵さん(以下、駒谷さん) 和商市場には、各店が自信を持ってオススメする旬の食材が並んでいます。

その時季だけしか味わえない貴重な魚や、食べ頃の食材。珍味やお菓子、スイーツ、お土産品まで取り揃えています。鮮魚だけでなく、精肉や青果、加工品が豊富であることも和商市場の特徴です。

イートインのお店も充実しており、定食屋や喫茶店などもあるので、お食事や休憩時にもご利用いただけます。

──和商市場の歴史について教えてください。

駒谷さん 1954年に「釧路の台所」として作られた、釧路で最も歴史のある市場です。その始まりは、釧路で有志の集まりがぼろぼろのリヤカーと犬を連れて商売をしたこと。

当初は資金がないために店舗を構えることができず、雨風をいとわず露天で商売をしていました。その活動は、道路の占拠や食品衛生法による制約を受けることもありました。

でも、この商売を必要としてくれている人たちがいる。お客様のためを思い、彼らは商売を続けるために奮闘し続けたのです。

そのような苦労を経て、安定した売り場と屋根のある市場へと姿を変え、それが今の和商市場の土台となっています。

──並々ならぬ先人の努力と苦労があったのですね。

駒谷さん はい。今の和商市場があるのは、「市民に育てられてきたこと」、「一つの目的に向かって納得いくまで全員で進んできたこと」。そして何より「和して商(あきな)う」という姿勢を貫いてきたからこそだと言えます。

「地域一番店」として、釧路の新鮮な食材を届ける

自分だけのオリジナル丼を楽しめる「勝手丼」。好きな量のご飯に、好きなネタを、好きなだけ乗せて完成!

──ありがとうございます。では、現在の和商市場の雰囲気やおすすめの商品を教えてください。

駒谷さん 地元のお客様をはじめ、近隣の飲食店の料理人が毎日仕入れに来ています。観光客のお客様も多くいらっしゃいますね。

和商市場では、大自然の恵み豊かな旬の食材を取り揃えています。釧路の魚介類や野菜類などを扱っているので、以前から地産地消を掲げているんです。これは海洋資源や地球環境の保全にも繋がっていると考えています。

また、たくさんのネタをどんぶりに乗せる「勝手丼」は和商名物。自分の好きなネタだけを選んで、オリジナル丼を作れる面白さがあります。自分の食べれる分だけ、ご飯とネタを調整できるので、食品ロスの削減にもなるんです。そして一番の売りは、店頭に立つ商人たちの人情味と活気溢れる笑顔ですね。

──お客様からはどのような声が届いていますか?

駒谷さん 「どのネタも新鮮で、他では食べられないようなレア物もたくさん揃っている」「忘れられない思い出に残る美味しさでした! 」「母へのお土産に鮮魚を贈ると、美味しいと大絶賛でした」などと、皆さん思い思いに喜びを感じてくださっています。

ちょっと食材を調達したい方や、観光を楽しみたい方、大切な人にギフトを贈りたい方など、どのような方にも楽しんでいただける場所です。

「和して商う」精神は今もこれからも続く

今も昔も変わらない、対面販売での人と人との触れ合い。これからも「釧路の台所」としての歴史は続く。

──和商市場は「さかなの日」に賛同していると聞きました。詳しく教えていただきたいです。

駒谷さん 水産庁によって制定されている「さかなの日」は、毎月3日から7日までを指します。日本では魚を食べる文化が根付いていますが、その消費量は年々減少し続けているんです。このような現状を踏まえ、水産物の消費拡大に向けて、多くの民間企業が賛同しています。和商市場では、試食会などのイベントを通して盛り上げています。

──オンラインショップでも、数多くの商品を販売されていますね。

駒谷さん はい。鮮魚類や加工品、ギフト用の商品など幅広く取り揃えています。やはりお客様には旬の食材が人気で、たとえば春には鮭の一種のトキシラズ鮭鱒子(さけますこ)がよく売れますね。「くしろ生ラーメン」やオリジナルエコバックも人気です。

──最後に、今後のビジョンや展望について教えてください。

駒谷さん 和商の文化は一貫した対面販売であり、それは人と人との触れ合いであり、素材を大切にした食文化を体現しているとも言えます。この在り方を誇りに、これからも「釧路の台所」として期待に応えられるよう努力を重ねていきたいです。これからも「和して商う」の精神を持ってがんばります。

釧路和商市場

〒085-0018 北海道釧路市黒金町13丁目25
TEL:0154-22-3226 
FAX:0154-22-5412

この記事の執筆者

志摩 若奈(しま わかな)

個人事業主として、取材や執筆、カウンセリングをおこなう。「自分と繋がる瞑想法®︎」を活用した、自己信頼や自己受容を育むセッションを提供中。お問い合わせはInstagramのメッセージまで。

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