東京水道125周年記念!水源林の大切さと歴史についてアクアソムリエが解説

こんにちは。アクアソムリエの鶴田です。 

みなさまは、「水源林」ってご存知でしょうか?

お水はどこから生まれるのかと言うと、豊かな「山や森」から生まれます。
反対に、山があってもはげ山だったり、保水力がないと、せっかく降った雨も大地に貯まらず、流れていってしまいます。
お水を守るための森、それが水源林なんですね。

最近はミネラルウォーターを製造する企業の間にも、水源林=森を守る活動が広がっています。
有名なところだと、サントリーさんの「天然水の森」(水源の南アルプスを始めとして、各地の森を整備しています)や、
コカ・コーラさんの各地での水源涵養活動などがそれです。

で、企業だけでなく、水道水を何百万人、何千万人に供給する自治体も、水源林保全を行っています。

今回は、東京水道125周年記念ということで、東京国際フォーラムで行われた記念式典に参加してきましたので、そのご報告をさせていただきます。

と、いうわけでやってきました有楽町。
ちなみにこの東京国際フォーラム前には、東京都の水道水である「東京水」の、Drinking Fountain(給水所・給水栓)があります。

以前は東京水のPRというと、ペットボトルの製品が中心でしたが、ここ2-3年は、こうした給水栓(マイボトルを持ってきて、誰でも利用できる)が主流のようです。
会場はこちら。緊張しながら入室します。

エレベーターで5階に上がり、小ホールが会場でした。
待合ロビーには、東京水道の歴史や、水源林をPRするパネルなどが飾られています。

そして会場内で、記念式典が始まりました。

会場内の撮影はNGでしたので、残念ながら写真はありませんが、タレントの足立梨花さんがいらっしゃって、とても華やかで楽しい雰囲気でした!

足立梨花さんが、実際に水源林に行かれた映像が流されまして、それを見ながらご本人がコメントをされる…という、まるでテレビ番組のスタジオ観覧に来たような、貴重な体験でした。

ちょっと、いちファンみたいな話になってしまったので(笑)、アクアソムリエとしての立場に戻りつつご説明しますと…。

東京都には、主に3つの水源・水系があります。

  • 高度浄水処理で有名な金町浄水場に代表される、利根川(江戸川)水系。
  • 下流ではみなさまご存じ隅田川となる、荒川水系。
  • 東京都の独自水源である、多摩川水系。

このうち、利根川や荒川水系は、他の関東の自治体と共同で利用している部分もあり、
東京の独自水源である、多摩川水系というものを、より一層大切にされているようでした。

さて、今日の本題に入るのですが…。

その多摩川水系の上流にあたるのが、山梨県と奥多摩に広がる、水道水源林です。

みなさま、けっこう意外に思われるかと思うんですが、東京都の水源林は、東京だけでなく山梨県にも広がっています。
(こうしたケースは、他にもいくつかの自治体で見られます)

やはり、東京のお水の起源は?と考えた時に、古くは玉川上水、越えて奥多摩、越えて山梨、なんですね。

で、その山梨県の、一番遠くは甲州市まで広がる水源林に、足立梨花さんが行かれていました。

内容としては、水源林の散策、ダムの見学と、
間伐です。

ここでまたご質問ですが、
「間伐」ってご存知でしょうか?

あまり聞き馴染みのない方が多いかもしれません。

水源林というのは、天然林と人工林に分かれ、人工林は主にスギ・ヒノキなどの樹木で構成されるのですが、
こうした森に人の手を入れずそのままにしておくと、木が生い茂り過ぎてしまい、森の中が暗く、また過密になってしまいます。

木と木が適度な間隔を保てるように、また日の光がちゃんと森や土に差してあげるように、適度に木を切り倒し、間引いてあげることを「間伐」と言います。

この間伐は、主にボランティアの方によって運営されています(本当に頭が下がります)。

私も間伐作業を体験したことがあるのですが、今回は足立梨花さんが間伐体験をされて、40分かかって必死に木を切り倒されていた…という動画でした。いざ木が倒れた時の、達成感がすごい!と仰っていました。

(間伐が終わったあとに、同じ地点で森から空を眺めると、本当に日の光が差し込んでくるのを実感できます。ぜひ一度、体験されてみてください)

————

いかがでしたでしょうか。
東京水道125周年、とのことで、最後に少しだけ歴史の話をして締めたいと思います。

日本で最初に近代水道が創設されたのは横浜で、1887年(明治20年)のことです。
ちなみに「近代水道」の要件は、「ろ過」(浄水処理)、「有圧」(鉄管の使用)、「24時間」(常時給水)、です。

テストには…出ないかもしれません(笑)。

で、その後、函館、長崎と続き、
(やはり、幕末に開港した港町が多いようです。外国人の居留などの関係)
日本で5番目に古い近代水道が、当時の東京市です。1898年(明治31年)、12月1日のことです。

古くは江戸時代の玉川上水ですので、当時から多摩川水系というのはあり、淀橋(よどばし)浄水場というのが、新宿の今の東京都庁のあたりに建てられました。
現在では都庁を始めとして、西新宿のビル群の場所ですね…。とても想像が付かないですが、そんな時代があったようです。

同時に、水源林の大切さというのはかなり古くから知られていて、2年後の1900年には、当時の東京市長だった尾崎行雄が、上流の山を視察し、「こんなに山が荒廃しているようでは、水が駄目になってしまう」というような旨のことを言っています。

それで、翌1901年には東京市が、県を越えて山梨県の水源林を直接保有することとなり、森を守る活動が始まり、現代に受け継がれている…。と、こういう図式になります。

どの街にも、どの水道にも歴史があります。
ぜひ、歴史の味も感じながら、今日の水道水を味わっていただければと思います!

この記事の執筆者

鶴田雅人

日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエマイスター・公認講師。 水の味の違いに興味を持ち、国内外のミネラルウォーターを飲み比べている。 日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」、 フジテレビ系列「99人の壁」など、メディアにも多数出演。

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