【PADI】Seek Adventure Save the Oceanを掲げる、世界最大級のダイビング教育機関

PADIは、1966年にジョン・クローニンとラルフ・エリクソンによってスクーバ・ダイビングの教育機関としてアメリカで生まれました。初心者からプロフェッショナルまで、さまざまなレベルのダイバーをサポートするための教育プログラムを提供しています。

今回は、株式会社パディ・アジア・パシフィック・ジャパン マーケティング部の廣島まひる(ひろしままひる)さんにインタビュー。PADIの具体的な活動や、社会的な存在意義、これからのビジョンについて話をうかがいました。

株式会社パディ・アジア・パシフィック・ジャパン

廣島 まひるさん

30秒に1人、PADIの認定を受けている。世界中の人々から信頼される存在

世界中のダイバーから支持される、PADI独自のカリキュラムによるダイビング・トレーニング。スマホやPCで手軽に学べる「PADI eラーニング」の利用者も増えている。

──最初に、PADIはどのようなダイビング教育機関なのでしょうか?

廣島 まひるさん(以下、廣島さん) 1966年設立以来、全世界で2800万枚以上のCカード(ダイビングライセンス)を発行しており、年間約100万人のダイバーが、PADIの教育カリキュラムによる認定を受けています。つまりおよそ30秒ごとに、世界中のどこかで誰かがPADIの認定を受けているということ。その割合は世界中のダイバーの約60%以上にもおよびます。

また、日本人のCカードの発行枚数は200万枚を超え、世界と同様に日本でも全ダイバーの約60%以上のシェアを誇ります。国内には約500店舗のPADIダイブセンターとダイブリゾートがあり、インストラクターやダイブマスターなど1万人近くのメンバーが、ダイバーの育成やダイビングツアーの運営を行っています。

──PADIのカリキュラムの特徴を教えてください。

廣島さん ひと昔前のダイビング・トレーニングは、軍隊式で任務遂行型、肉体的な能力のみが要求されるハードなものでした。

しかし本来は、楽しみと喜びを感じるために、ダイビング・トレーニングはあるはず。そう考え、PADIは今までの概念を根本から改革し、手軽に安心して楽しめる継続性重視のトレーニング方法を目指し、段階を追いながらレベルアップできるトレーニングプログラムを創り上げました。

PADIのカリキュラムは段階的に進行し、基礎からより高度なスキルや知識を習得していく仕組みです。前のコースで学んだ内容やスキルが次のコースの基盤になります。このような階層的なカリキュラムによって、ダイバーは徐々にスキルを向上させ、安全かつ確実に自信をつけながらダイビングを楽しむことができます。

──ダイビング教育機関の役割とは何ですか?

廣島さん PADIはツアーやコースの開催を行っているわけではなく、さまざまなレベルのダイバーをサポートするための教育プログラムを提供しています。また、全国各地のダイビングショップにて、認定されたダイバーにライセンスを発行。ダイビングスクールへのマーケティングサポートも行っています。すなわち私たちは、ダイビングに関わる人々や組織の教育機関という立場なのです。

愛する海を守るべく、グローバルに保全活動に取り組む

海洋ごみ問題に取り組むPADIコース(Dive Against Debris)は、すべてのダイバーが学ぶことができる

──海洋保護活動にも注力されているそうですが、どのようなきっかけでスタートしたのですか?

廣島さん PADIのブランドミッションは「Seek Adventure. Save the Ocean」です。私たちに自由・感動・喜びを与えてくれる、愛する海を守りたい。そのような想いから活動が始まりました。

というのも、私たちダイバーは海の中を直接見ることができるので、早い段階から、汚染や乱獲、気候変動などの環境問題に高い意識をもつようになりました。そして、海洋保護やSDGsの活動に積極的に取り組むようになったのです。

──具体的な活動内容について教えてください。

廣島さん 2023年でちょうど30周年を迎えるPADI AWARE財団」においては、ダイバーや熱心なボランティアの協力により、「海洋ごみ対策」「海洋保護区を増やす」「脆弱な海洋生物種の保護」「サンゴ礁の回復と復元」「CO2排出量の削減と相殺」の5つを大きなテーマとして、世界中でさまざまな活動を行っています。

日本では、PADIインストラクターやダイビングショップ主導による水中と陸上の清掃活動や、地元の企業や漁師の協力を経たリサイクルプロジェクトなどを行っています。

また、PADIでは海洋保護について学べるコースも用意しています。海に関心のある方一人ひとりが「市民科学者」になれるのです。たとえば「PADI AWARE Dive Against Debris®」では、海洋ごみの回収を実施するための知識とスキルを学び、海からごみを取り除き、世界規模のデータベースにごみの種類や量の報告をします。世界中の海洋ごみの調査をユニークに行っており、報告されたデータは、後に研究者や環境保護団体、行政に提供され、海洋のごみ問題の分析や対策のために活用されます。

海を楽しみながら貢献する人を増やしたい

美しい海を守るためには、私たち一人ひとりの活動が欠かせない。PADIはより多くの人が、1つでもアクションを起こすことを願っている

──これからどのような未来やビジョンを実現していきたいですか?

廣島さん 私たちのビジョン・ミッションはAchieve balance between humanity and ocean.(人類と海のバランスの取れた共存・共栄を目指し)、Create a billion torchbearers to explore and protect out ocean. (海を探求し、そして守っていくために、10億人の希望の灯を持った人を作る)」です。

世界最大級のダイビング教育機関である私たちなら、何百万人ものPADIトーチベアラー(希望の灯を持った人)と共に、力を合わせて海を救うことができると信じています。

これからも、より持続可能な未来を創造する世界的な取り組みにおいて、独自の役割を果たしながら、リードしていくことに尽力していきます。

──最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。

廣島さん ダイビングは水面下でしか経験することのできない、本当に人生を変えるような体験ができるアクティビティです。水中に潜ると、たくさんの生命が息づいていることに触れ、「海はあらゆる生命の源である。海は人間に多くのものを与えてくれている」と実感できることでしょう。

私たち一人ひとりが、個人として、ダイバーとして、海洋環境に変化をもたらすためにできることはたくさんあります。より多くの方が海を楽しみながら、海洋環境の保護・保全に積極的に貢献してほしいと思っています。

そして、世界中の仲間と力を合わせて、海への情熱を目的へと変え、明るい未来に向けてより良い影響を与えていきましょう。いつか、水の中でお会いできることを楽しみにしています!

株式会社パディ・アジア・パシフィック・ジャパン

〒104-6040 東京都中央区晴海1-8-10
晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーX 40F
TEL:03-6372-7234

この記事の執筆者

志摩 若奈(しま わかな)

個人事業主として、取材や執筆、カウンセリングをおこなう。「自分と繋がる瞑想法®︎」を活用した、自己信頼や自己受容を育むセッションを提供中。お問い合わせはInstagramのメッセージまで。

新着記事