株式会社ジェイエスエスは、スイミングスクールや運動器具販売、スポーツ施設運営コンサルタントなど、幅広く事業展開する会社です。
今回は、広報戦略室のお三方に事業にかける想いや今後の展望を伺いました。
株式会社ジェイエスエス
室長 麻績 隆二さん
広報戦略室
株式会社ジェイエスエス
部長 奥村 基司さん
事業開発部
株式会社ジェイエスエス
担当者 一柳 まどかさん
広報戦略室
アルミプール製造販売の会社からスイミングスクール運営会社へ
──株式会社ジェイエスエスはどのような事業を展開していらっしゃるのでしょうか?
麻績さん 弊社は1971年にアルミの建具やアルミプールを製造販売する「竜奥興行株式会社」として産声を上げました。1976年にはスイミングスクール事業の「ジャパンスイミングサービス株式会社」を発足させました。
その後、学習塾やテニススクール・フィットネス事業なども手掛け、1991年に社名を「株式会社ジェイエスエス」と変更。
この社名変更は、弊社がスイミングスクール事業だけでなく多角的なアプローチで青少年の健全育成と健康づくりに貢献する姿勢をアピールするものでもあります。
その後、2013年には大阪証券取引所(現:東京証券株式市場)に上場し、全国にスイミングスクール81事業所・テニススクール2事業所・学童クラブ1事業所・発達支援2事業所の計86のグループ校を有しています。
発達支援では、通常の学校生活を送りづらいお子さんに学習、遊びの指導をしたり、弊社の主事業であるスイミングスクールでのレッスンも行っているんですよ。
これらのスクール運営のほか、スポーツ施設の建設と運営コンサルタント・各種運動器具の開発販売など、多角的な営業展開を行っています。
特許も取得した水中バイク
──運動器具は具体的にはどのようなものを販売しているのでしょうか?
奥村さん 水中バイクや水中トランポリンを販売しています。
特に、水中バイクは弊社が独自に開発し、特許も取得したオリジナル商品です。
少子高齢化で子供の数が減り中高年が増える中、健康寿命を長くしたいというニーズが増えていることを感じ、開発に乗り出しました。
ニーズの深堀りをしていく中で、中高年の方の、「健康のために運動はしたいがどうやって運動したら良いかわからない」「スイミングスクールは子供が通うところ」「泳げないからプールは無理」「いつまでも自分の足で歩きたい」と感じている方が多くいるということを知りました。
そこで、今までプールに興味がなかった方や泳げない方でも、安全に水の特性を体感しながら健康増進ができるよう、水中バイクを作ることとなったのです。
弊社の水中バイクの特徴は、なんといってもハンドルがないことです。
ハンドルがないことで、姿勢を保つために骨盤が立った状態を維持しなくてはいけないため、体幹が鍛えられます。
身体の2/3は水中に入っているため、泳がずとも水を感じながら身体を動かすことができるんですよ。
特許を取れたのは、水車のようなパドルを回転させることで負荷を発生させるところが評価されたからだと思っています。
自己肯定感の高いメンタリティー育成と健康・生きがいの提供を行いたい
──水を通じて健康づくりに貢献するという企業理念ですが、どのような思いをこめられているのでしょうか?
麻績さん 弊社の基幹事業は「スイミングスクール運営」となり、現在全国に約10万人の会員様がいらっしゃいます。
スイミングスクールを中心に水泳の普及と競技力向上を目指しています。また、水中運動により、青少年の健全な身体と自己肯定感の高さ、人生100年時代を力強く生き抜くためのメンタリティー育成も目指すところです。
自己肯定感を高めるため、弊社のスクールでは62段階の進級ステップを設けているんです。
これは、進級テストに合格し褒められる回数を多くしたり、成功体験を多く経験してもらうため。成功体験や褒められることは自分に自信がつき、自己肯定感の高まりに繋がると考えています。
大人の皆様には健康と生きがいの提供や、仲間づくりを支援する事で地域の住民の方々へ貢献したく、運営しております。
9大会に延べ23名のオリンピック選手を輩出
──JSSからオリンピック選手が多数輩出されているそうですが、どのような方々がいらっしゃるのでしょうか?
一柳さん 我々のスイミングスクールからは1980年のモスクワオリンピック(この大会は西側諸国のボイコットにより不参加)から2020東京まで計9回のオリンピックに延べ23名の選手を輩出しています。(※世界選手権には過去13大会、延べ35名輩出。)
競泳選手は井本直歩子、中村真衣、田中雅美、種田恵、渡部香生子、瀬戸大也などで、飛込みは馬淵よしの、寺内健、玉井陸斗、荒井祭里、板橋美波などがJSSの出身です。
シドニー五輪100m背泳ぎ銀メダリストである中村真衣には現在スクールのアドバイザーを務めてもらっており、卒業して多方面で活躍していても力を貸してくれています。
今回のアジア大会(取材時は2023年9月で第19回アジア大会を開催中)には競泳で1名、飛び込みで3名出場を果たし、全員がメダルを獲得しています。
スイミングコーチは全国でおよそ1800名
──JSSの特徴的な指導方法や他社にはない強みは何かありますか?
麻績さん 先ほどもお伝えした通り、ジュニア指導に関しては独自の指導メソッドである62段階の進級基準(スモールステップ)で少しずつの進歩を認め、明確に目標設定された各級の認定を受ける事で「やる気・自信・集中力」を養います。
全員一般クラスから始めますが、全国大会などで成績の良かった選手は月謝免除はもちろん、強化選手として奨学金や合宿遠征の費用をJSS本部から補助する制度があります。
大会は地区ごとに年2回対抗戦を開催。
毎年11月には優秀選手を招待する招待試合も開催しており、切磋琢磨する良い機会となっています。
大人の会員の方には水泳のレッスンだけでなく、冒頭でお伝えしたオリジナル水中器具(水中バイクや水中トランポリン)を用いた水中運動や水中ウォーキングを提供しています。泳げない方や身体機能の衰えがある方々も楽しく運動できます。
当スクールには全国で500名ほどの社員コーチと1300名のアルバイトコーチの計1800名がいるのですが、長く指導しているベテランコーチが多数在籍しているのも強みのひとつです。
よく、「名選手は必ずしも名コーチたりえない」などと言われます。いくら自分が速く泳げても、適切な指導方法がわかっていなかったり、子供に対する理解力がないと良い指導者とは言えません。
その点、当JSSスイミングスクールではそのノウハウを持ち合わせるベテランコーチが多く、業界内でも指導力が高いと評判です。オリンピック選手も多数輩出できているのはこのためだと思います。
水泳というスポーツの更なる底辺拡大と競技力向上を目指したい
──今後の貴社の展望をお聞かせください。
麻績さん・奥村さん 今後、大きく4つやっていきたいことがあります。
1つ目は、新規出店と老朽化した施設の建て直しです。
建て直しについては、開設以来30年以上経過している施設も多いので、こちらも新規出店と同時並行で推進していきたいと思っています。
2つ目は、オリジナル水中運動器具とこれを用いたプログラムの普及です。
現在30店舗で水中バイク・トランポリンを組み合わせたプログラムを展開しており、20店舗で水中ウォーキングなどの機能改善プログラムを実施しています。
これらのプログラムは、スポーツクラブなどで激しく運動できない方でもできるようなものなので、どんどん広めていきたいですね。
現在YouTubeやInstagram、HP、折り込みチラシなどで無料体験会の呼びかけを行ったりして試行錯誤して集客を行っているので、他の方法も試しながら進めていきたいと思っています。
3つ目は、水の事故から身を守る技術や知識を習得していただく取り組みを広げていくことです。
JSSスイミングスクールでは2005年よりジュニアスイミングのカリキュラムに「安全水泳」を取り入れています。
安全水泳とは水難事故から身を守る知識と技術の総称です。
会員を対象に全てのスイミング施設で初心者から上級者まで泳力に応じた事故回避法や、水に落ちた際の対処法を指導しています。
今後、水難事故ゼロを目指すためにスクール内にとどまらず、地域の方々にもその重要性を知っていただきこの取り組みを推進していきたいと思っています。
最後に、水泳というスポーツの更なる底辺拡大と競技力向上です。
過去の統計※で、小学生の30%~40%はスイミングスクールに通っているという結果が出ています。しかし最近はコロナ禍の影響もあり、25%まで低下してしまっているとのデータもあります。
※出典「学研教育総合研究所」小学生白書
しかも世の中は少子化。
スイミングスクールを運営している一会社として、子供たちの健康な身体・精神作りの一助となる水泳というスポーツへの参加率を上げなければいけないと思っています。
プールをやってみたい、スクールに通いたいと思ってもらえるような取り組みを今後考えていきたいです。
また、オリンピック選手を毎大会輩出しており、東京オリンピックには7名出場しました。しかし、次回のパリオリンピックに向けてはJSS選手の代表入りは「飛込み」の2名しか決まっていません。
なので、今後オリンピック選手を輩出するための育成土壌をさらに整え拡大し、競技力の向上を目指していきたいですね。
株式会社ジェイエスエス
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