荒川のライン下りなどアクティビティを楽しめ、花の街でも知られる埼玉県・皆野町

埼玉県・皆野町(みなのまち)は中央部に荒川が流れ、ライン下りやラフティング、オートキャンプ場など川のアクティビティ体験ができるなど魅力満載です。

また花の名所でもあり、ポピーやアジサイ、秩父紅(福寿草)など、様々な花が季節の折々に咲いています。

今回は、皆野町観光協会事務局の新井まどかさんに町の観光の魅力をうかがいました。

皆野町観光協会

新井 まどかさん

事務局

日本有数の川下りの場所として人気スポット

──まず皆野町の観光の魅力から教えてください。

新井まどかさん(以下、新井さん)  まずは、水に関わる観光地をご紹介します。皆野町の特長は、町の中央に荒川が流れるなど、水にも恵まれ自然豊かな地域です。

荒川は皆野町から長瀞町にかけて流れ、ライン下り、ラフティングを楽しめる日本有数の川下りの場所です。

川下りでは急流あり静かな流れありと変化に富んでいて、周囲の景色も楽しめます。もし機会があれば是非、川下りを体験して頂きたいと思います。

今キャンプブームですが、荒川沿いにはオートキャンプ場があり、自然を満喫することができます。

長瀞ライン下り

荒川を渡る親鼻橋のすぐ側に「みなの親鼻河原」があり、春の4月後半から秋の11月中旬にかけてバーベキュー、川遊びが楽しめる人気のスポットです。

基本は土日祝日の営業ですが、夏休み期間は平日も営業しています。また、下流にある秩父鉄道の鉄橋をSLが通行する様子を見ることができます。

秩父にも華厳の滝があった!?その謎を郷土資料で読み解く

秩父華厳の滝

──その他にも、水にかかわる観光地はありますか。

新井さん 次の観光地は滝を紹介します。町内の日野沢地区にある「秩父華厳の滝」は、高さ10数mの滝で、埼玉クールスポット100選に選ばれています。

名前の由来としては、日光華厳の滝とよく似ていたため、秩父華厳の滝という名前になったといわれています。

郷土資料によると、大正時代にはすでにこの滝名だったことを確認しています。

秩父鉄道が皆野まで路線を延長したのが大正初期ですので、日光華厳の滝を見た観光客が皆野に来て、秩父華厳の滝を見て似ていると感じたのでは・・・と推測しています。

夏と秋にはそれぞれライトアップイベントを行い、多くの観光客が訪れます。

約8,000本の桜と、壮大な雲海を味わえる「蓑山」

夜景と桜がとても美しい。
夜景100選にも選ばれた美の山公園

──川や滝以外で、どのような場所がおすすめの観光地でしょうか。

新井さん 次は山と花を紹介します。隣の秩父市との間にまたがる、標高586.9mの「蓑山(みのやま)」の山頂に「美の山公園」があります。

山全体で桜(ソメイヨシノ・山桜)が約8000本。公園の敷地内に緑色の花びらを咲かせる「ギョイコウ」には、コアなファンがいらっしゃるんです。

桜のあとは、ツツジ、アジサイ(約4000株)が四季折々に咲き、山の彩りも大変豊富です。

感動の光景が広がる蓑山から見る雲海

さらに蓑山は深夜から早朝にかけて、条件がそろうと「雲海」が発生することで有名です。

その条件とは、湿度が高く十分な放射冷却があり、なるべく無風状態であることです。

アジサイは6~7月に見ごろを迎え、湿度が高い時期でタイミングが合えば、アジサイと雲海の両方を一緒に見られます。

約1200万本のポピーが咲き誇る秩父高原牧場

話題沸騰!写真映えのする天空のポピー

──花は疲れた心を癒してくれますから、「美の山公園」はいい場所ですね。

新井さん 「美の山公園」以外にも花の見どころがあって、5月後半~6月上旬にかけて一面のポピーを楽しめる場所もあります。

皆野町の隣には埼玉県唯一の村である東秩父村があり、その間に挟まれるように「埼玉県秩父高原牧場」があります。その牧草地の一部を活用して一面のポピーを植え、「天空のポピー」イベントを開催しています。

約1200万本の真っ赤なポピーと、青空のコントラストは本当に絶景です。

河川敷や平地の広い場所に花を植える試みは全国でありますが、標高500mの山の上に4haという広い敷地に花を植えている事例はあまりないと思いますので、一度は訪れて頂きたい場所です。

秩父紅(福寿草)

花つながりでもう一つ紹介します。福寿草は一般的に黄色い花ですが、秩父周辺では固有種が存在します。

秩父紅(福寿草)と名付けられ、皆野町にある「Mahora稲穂山」ではオレンジ色に咲きます。

数年前まではムクゲ自然公園と呼ばれ、その名前の通り夏にはムクゲが10万本、冬には秩父紅が咲きます。冬にも山を探索しながら、花も楽しめます。

初心者から中級者向けまで、多くのハイキングコースがある破風山

視界を遮るものはない!パノラマが広まる城峯山

──いろいろとハイキングコースにも恵まれていますね。

新井さん 秩父市と皆野町にまたがる破風山(はっぷさん)には、初心者から中級者向けのハイキングコースがあります。

山頂の絶景はもちろんですが、尾根歩きのため山頂以外にもコースの各所で景色を楽しめます。

破風山のほかにも、城峯山(じょうみねさん)があります。秩父市、皆野町、神川町にまたがる標高1038mの山頂からは赤城山、浅間山や八ヶ岳を望めますので、登山家の方には人気な場所です。

ちなみに、城峯山には平将門伝説※が残っています。平安中期の武将である平将門は朝廷に反乱を起こしましたが敗れ、城峯山に逃げてきました。

将門の側室であった桔梗の前(ききょうのまえ)も一緒に逃げていたのですが、敵に「将門はどこにいる」と問い詰められた結果、秘密を漏らしてしまい将門は敵に捕らえられます。

将門はこのことを恨み、「城峯山に桔梗は咲くな」と恨み言を残したので、城峯山には桔梗の花が咲かないとの伝説が伝わっています。

平将門伝説の補足情報

平将門は桓武天皇の子孫。下総国(現・千葉県)・常陸国(現・茨城県)に広がった平氏一族の抗争から、やがて関東諸国を巻き込む乱を起こす。

築土神社旧蔵の平将門像
引用元:Wikipedia「平将門

その際に常陸国府(国の政務を行う施設・現在の都道府県の役所にあたる)を襲撃。「新皇」を名乗り東国独立を目指すが、藤原秀郷・平貞盛らにより討伐される。

桔梗の前は、最も将門に愛された伝説上の人物。

伝説は関東から東北まで広がり、地域によってバージョンは異なる。将門を描いたNHK大河ドラマ『風と雲と虹と』と、原作である海音寺潮五郎の『平将門』にも村娘「桔梗」が登場。

しかし、初期の軍記物である『将門記』(しょうもんき)には桔梗は登場しない。

地域おこし協力隊員がキャンプ場をオープン

皆野町三沢に作られたキャンプ場

──非常に自然豊かで魅力的な地域ですね。次は宿泊施設について伺いたいのですが。

新井さん 今、注目のキャンプ場とホテル・温泉をご紹介します。

まずキャンプ場での宿泊を紹介します。皆野町三沢地区に「ぼくらのミナノベース」が11月1日にオープン。

オーナーは、皆野町地域おこし協力隊隊員です。町おこしの事業と自分のやりたい事業が一致して起業されました。場所は車で乗り入れ可能で、関越自動車道の花園ICより約30分に位置にあります。

併設されたカフェ「鹿のねどこ」で食事をするのがおすすめです。

清流を望みつつ温泉も楽しめる「満願の湯」

──さて温泉施設のご紹介もお願いします。

新井さん 蓑山の頂上へ行く途中に、宿泊施設「いこいの村ヘリテイジ美の山」があります。2階には大浴場があり、山や雲海の景色と一緒に温泉を楽しめます。

少し前にお部屋をリニューアルされたので、是非一度訪れて頂きたいホテルです。

次に日帰り温泉では、「満願の湯」があります。皆野町日野沢地区にあり、秩父華厳の滝に向かう道中に見えます。観光客や登山客で人気のスポットです。

温泉の特徴は、水素イオン濃度9.3phという全国有数の極めて高いアルカリ性の泉質です。

ここは沢に沿って建設された温泉施設で、内風呂と露天風呂に分かれています。露天風呂からは、眼下の清流が望めます。初夏には蛍も飛び、心も癒されることは間違いありません。

皆野町のソウルフードはウナギ。おススメの店は?

──話は変わりますが、皆野町の自慢のグルメはなんですか。

新井さん 最初に思い浮かぶのがウナギです。

町にあるウナギ屋は「東屋」「割烹 坂本屋」「吉見屋」の3軒。

味が異なるたれを使っていて、非常においしいことからお店ごとにファンがいます。

都内と比較して価格はリーズナブルです。皆野町では「ハレの日」、つまり祝い事や忘年会などの特別な行事にはウナギを食べる習慣があります。

そういった意味でウナギは、皆野町民にとってはソウルフードなのです。

次に紹介したいのが、秩父鉄道・皆野駅前にある「わかば」というお店です。平日でも満員になる人気店。とんかつなどの定食はボリュームがあり、とても美味しいです。

また、これまでも紹介してきました秩父華厳の滝をさらに登った先に「天空のおやき」という店があります。おやきに皆野町名産の「しゃくしな漬け」が入っています。皆野町の郷土料理の一つで、お茶のおともにぴったりです。

また、近くには廃分校の跡を活用した「天空の楽校」というお店があり、ちまきが人気です。またバーベキューも楽しめます。

──しゃくしな漬け以外に何か名産はありますか?

新井さん 栗の品種に「ぽろたん」があります。これまでの日本栗は、渋皮をきれいに剥くには少し時間がかかっていたのですが、「ぽろたん」は簡単に綺麗に剥けるのです。

国道沿いにある道の駅「みなの」には、皆野町の名産物を販売しているのでお時間のある時は是非お立ち寄りください。

秩父地域内外に向けSNSを活用し、PR強化へ

例年8月14日には、秩父音頭発祥の町として
「秩父音頭まつり」が盛大に行われる。

──貴協会の今後の動向について教えてください。

新井さん 2024年もたくさんのイベントを予定しております。他地域から観光客の皆様にお越し頂いて楽しまれるのはもちろん、地元の方にも皆野の魅力を改めて知って頂きたいと心がけていきたいと思います。

そのために、InstagramなどのSNSを活用してタイムリーな情報発信を心がけ、地域内外両方へのPRを強めていきたいです。

皆野町観光協会
〒369-1492 埼玉県秩父郡皆野町皆野1420-1
TEL:0494-62-1462

この記事の執筆者

長井 雄一朗

建設業界30年間勤務後、セミリタイアで退職し、個人事業主として独立。 フリーライターとして建設・経済・働き方改革などについて執筆し、 現在インタビューライターで活動中。

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