東北最大級のラベンダー畑を有し、めずらしい白いラベンダーが見られるなど雄大な自然に囲まれています。さらに国の重要無形民俗文化財にも指定されている伝統の祭り「六郷のカマクラ」など、文化や伝統を継承。
今回はあきた美郷づくり株式会社の佐々木 愛さんに、自然が豊かな美郷町のおいしいグルメや温泉、魅力について伺いました。
あきた美郷づくり株式会社
担当者 佐々木 愛 さん
観光企画部 美郷町観光情報センター 主任
秋田県の美郷町は雄大な自然に囲まれた美しい町
──まずは、秋田県にある美郷町はどんなところか教えていただけますでしょうか。
佐々木 愛さん(以下、佐々木さん) 美郷町は、秋田県南東部の横手盆地に位置しています。奥羽山脈の裾野に広がっていまして、多くの高山植物が見られる真昼岳や名水百選に選ばれた湧き水、東北最大のラベンダー園、「美郷町ラベンダー園」などがある、雄大な自然に囲まれた町です。
──美郷町の魅力は、どんな点だと思いますか?
佐々木さん やはり、美しくて豊かな自然に囲まれているところでしょうか。
特に「美郷町ラベンダー園」では、オリジナル品種のホワイトラベンダー「美郷雪華」が見られます。ラベンダーというと紫色を想像されると思うのですが、美郷町のラベンダーには、めずらしい白のラベンダーがあるんです。
──あきた美郷づくりでは、日々どんな活動をされていますか。
佐々木さん 主な事業としては、観光や地域振興など、美郷町の観光に関する業務を展開しています。町のイベントを主催することもありますよ。
見どころは東北最大級のラベンダー畑、名水百選に選ばれる湧き水
──佐々木さんがおすすめしたい、美郷町のスポットはどんなところですか。
佐々木さん 先ほども紹介しましたが、名水百選に選定されている「六郷湧水群」。
オリジナル品種の「美郷雪華」が咲き誇る「美郷町ラベンダー園」。
秋田県側の仙北平野が一望できる「真昼岳」ですね。
──ラベンダーというと北海道の富良野町などが有名です。北海道のラベンダー畑との違いはどんなところですか。
佐々木さん 美郷町ラベンダー園には、「美郷雪華」を含めた7種類のラベンダーが植えられています。7種類のなかのひとつ「さきがけ」の苗から、突然変異で白のラベンダーが咲き誇り、そこから白のラベンダーを育てていきました。
白のラベンダー自体が珍しいんです。美郷町ならではのラベンダーですね。
──美郷町は湧き水が豊富とおっしゃっていました。おすすめの湧き水・清水スポットを教えてください。
佐々木さん おすすめは、「御台所清水(おだいどころしみず)」。
秋田藩主の佐竹義隆(さたけ よしたか)公が炊事やお茶の水に使用したことから、名付けられた歴史ある清水※です。
※清水・・・地面や岩の間などからわき出る、きれいに澄んだ水。(参照:Weblio 辞書)
「御台所清水(おだいどころしみず)」を囲むようにお花が植えられていて、 季節ごとに、水仙、桜、つつじ、紫陽花と咲いていく、癒しのスポットでもあります。
近所の方が野菜を洗っていたり、夏場はスイカやトマト、キュウリなどを冷やしていたりなど、生活に密着した清水でもあるので、おすすめですよ。
──秋田県全体的に水がきれいなエリアという印象があります。水を守るために美郷町で取り組んでいることはありますか?
佐々木さん わかりやすいところでは、七滝山にブナの木などを植樹していますね。
美郷町には絶滅危惧種の「トミヨ属雄物型」、このあたりでは「ハリザッコ」と呼ばれる淡水魚がいるのですが、「ハリザッコ」の生息調査や環境整備をして、生態や水質を維持しています。
他には、「六郷湧水」に散策コースを整備したり、湧き水※の近くにベンチを置いて公園化したりして、水に親しめるような環境を作っています。
※湧き水・・・地中からわき出る水。(参照:Weblio 辞書)
昔から定期的に清水や湧き水を掃除するなど、住民のみなさんも協力的なので、みんなで守っているという感覚が強いかもしれません。
文化を継承する冬の祭り「六郷のカマクラ」
──国の重要無形民俗文化財でもある冬の祭り、「六郷のカマクラ」について教えていただけますでしょうか。
佐々木さん 毎年2月中旬に5日間に渡って行われるお祭りです。
豊作と安全繁栄を祈る「年ごい」、凶作や不幸を除去する「悪魔払い」。その年の吉凶を占う「年占い」の3つが、一体となった行事です。
小正月の行事として本来の姿を保っていること。住民の伝承意欲も高いことから、昭和57年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
初日の蔵開き・天筆書初め、最終日の竹うち・天筆焼きまでの一連が、「六郷のカマクラ」の行事の内容です。
最終日に行われる「竹うち」は、旧羽州街道を境に南軍、北軍の二手に分かれて、長さ7~8mの青竹を打ち、押し合いながら、勝敗を決めます。
北軍が勝てば豊作、南軍が勝てば米の値段があがるといわれています。
──クライマックスでもある「竹うち」には、観光客でも参加できるのでしょうか。
佐々木さん 「竹うち」のうち手は、町内に住んでいる方が中心となっていますので、参加を希望される場合は、事前に六郷のカマクラ行事継承会に問い合わせていただければと思います。
2024年は2月13日(火)から2月17日(土)に開催されますよ。昔からの伝統を受け継いだ行事なので、ぜひ壮大な迫力を体験していただきたいですね。
食べておきたい、美郷町おすすめのグルメ
──秋田といえば、米どころでもあります。美郷町に来たら食べてほしい、おすすめのグルメはどんなものがありますか。
佐々木さん 食べ物でいうと、美郷町のソウルフードでもある「美郷まんま」、「美郷たぬ中」です。あと、道の駅美郷で提供している「釜炊き銀しゃり御膳」ですね。
お酒だと、日本酒の「春霞」「奥清水」。
120年以上の伝統がある地下水を使用した地サイダー「ニテコサイダー」もおすすめです。
──「美郷まんま」や「美郷たぬ中」、「釜炊き銀しゃり御膳」とは、どんなものですか?
佐々木さん 「美郷まんま」は黒毛和牛がはいったまぜご飯、「美郷たぬ中」は中華麺で、和風だしのスープに揚げ玉がたっぷりのったもの。
どちらも昔懐かしい甘めの味つけになっています。
「釜炊き銀しゃり御膳」は、「道の駅美郷」で限定20食のみ、提供されているメニューです。
「あきたこまち」や秋田の新しいブランド米としてリリースされた「サキホコレ」を始め、こだわりの美郷米2種より選べるのが魅力です。注文してから20~30分待つのですが、炊き立てのごはんを食べられると好評ですよ。
──おいしそうですね。「あきたこまち」と「サキホコレ」の違いはどんな点ですか?
佐々木さん 「あきたこまち」はどちらかというと粘りがあるのですが、「サキホコレ」はモチモチとして、粒がしっかりしたイメージ。
冷めてもつややかでおいしいのが特徴です。
──「ニテコサイダー」は、秋田県出身で元乃木坂46のメンバー、現在は女優として活躍されている、生駒里奈さんもよくテレビなどでおすすめしていますね。佐々木さんがおすすめしたいのはどの味のサイダーですか。
佐々木さん どれもおいしいのですが、私がおすすめしたいのは、スタンダードなプレーン味。
巨峰味は3月から9月の限定品なので、そのときに絶対に飲んで欲しいですね。
──はちみつ味のサイダーはめずらしいと思いました。
佐々木さん 県内の田沢湖にあるはちみつ屋さんと共同開発して作ったニテコはちみつサイダーは、上品な甘さが感じられるサイダーとなっています。
「ニテコサイダー」は、他の企業さんにもOEM※として提供できるので、ぜひご相談いただきたいです。
※OEM・・・「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」の頭文字を取って作られた言葉。
委託者が保持しているブランド名を使って製品を生産するメーカー、あるいはその生産事業自体を指す。(参考:Weblio 辞書)
気になる美郷町の温泉は?
──美郷町には温泉もありますよね。特徴と魅力を教えていただけますでしょうか。
佐々木さん 美郷町には、「千畑温泉サン・アール」、「六郷温泉あったか山」、「湯とぴあ雁の里温泉」の3つの温泉施設があります。
「千畑温泉サン・アール」は、客室14室、露天風呂やサウナがある、自然に囲まれた人気の温泉。旬の地元食材を使った自慢の料理も人気で、屋内温水プールや屋外テニスコートなどもあります。
「六郷温泉あったか山」は、天然温泉が魅力。強アルカリ性のお湯で、全国屈指のカルシウム含有量を誇っています。
コテージが10棟あり、ペット同伴可でコテージもあり、プライベートドッグラン付きコテージもあります。屋外には、テントサウナもありますよ。
「湯とぴあ雁の里温泉」は内湯ですが、大浴場のほか、うたせ湯、寝湯、歩行浴、サウナがあること。プラス、メニューが豊富なお食事処もおすすめです。
──テントサウナは雪を見ながらサウナでととのいそうですね。
佐々木さん そうですね。「六郷温泉あったか山」のテントサウナは、一昨年、屋外に作りました。予約制となっていますので、テントサウナの利用を希望される場合は、予約が必要です。
季節によって見える風景が変わるところが、魅力ですね。
美郷町が誇るもので、アイテムや体験型ツーリズムを作り出す
──ホワイトラベンダー「美郷雪華」で、ルームフレグランスを作られていますね。どんな風に作られているのでしょうか。
佐々木さん 低温真空抽出法と言われる最新の抽出方法で、「美郷雪華」の100%ピュアな成分を取り出しています。劣化を防ぐためにアルコールを少々入れていますが、「美郷雪華」のラベンダーの自然な香りをお楽しみいただけると思います。
※低温真空低温抽出法・・・植物資源や食物資源を液体と固体にまるごと分離させる製法。 水や溶剤を使わず、低温(35~40℃)で植物や食物の有効成分を抽出する効率の高い抽出法。(参考:株式会社アンシェルブ)
──今後、「美郷雪華」を使ったグッズは増えていくのでしょうか。
佐々木さん 次回のラベンダー祭りに合わせて石鹸やキャンドルなどを作っていけたらいいなと思っています。
手に取りやすいリーズナブルな価格帯の商品も作って、「美郷雪華」の魅力をもっと知っていただけたらうれしいです。
──美郷町としての今後の展望を聞かせていただけますでしょうか。
佐々木さん インバウンドや県内外の観光客をターゲットにした「名水ツーリズム」を推進しています。これまでの旅の要素は、『旅行雑誌るるぶ』でも言われていますが、「みる」「たべる」「あそぶ」でした。
コロナ禍を経て、2021年以降は「知る」「創る」「学ぶ」に移行しているといわれていて、実際にそうだなと感じています。
東京や大阪などの大都市と比較するとインバウンドの誘致はまだまだですが、美郷町が持っている名水や雄大な自然、農業体験などの体験を通じて、楽しめるようなコンテンツを作っていきたいですね。
あきた美郷づくり株式会社
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